HOME成果報告会 > 第10回「理想の追求」「善き未来をひらく科学技術」シンポジウム開催

第10回「理想の追求」「善き未来をひらく科学技術」シンポジウム開催

7月6日、東京駅近くの新丸ビルコンファレンススクエアにおいて、キヤノン財団第10回「理想の追求」「善き未来をひらく科学技術」シンポジウムを開催しました。今回は報告者16名全員が会場参加、共同研究者などはオンライン参加というハイブリッド形式としました。報告の内訳は、研究成果報告4件と、研究3年目および2年目の中間報告8件、研究1年目の概要紹介4件でした。

冒頭、キヤノン財団の吉川弘之理事長より「学問とは誰が使っても正しく、無償であり、時代を通じて進化しながら人類が共同で進めていくものである。本日の参加者は科学者の一員として人類のためになり未来に使える知識を作り出してほしい」と期待が寄せられました。

「理想の追求」の成果報告では、東北大学の伊藤幸博先生による「薬に過度に依存しない畜産物の健全育成システムの開発」など食に関する4件の発表がありました。明治大学の宮下芳明先生による電気味覚技術に関する発表では、みそ汁の塩味が変化するデモンストレーションも行われ、会場は大いに盛り上がりました。

また今回の成果報告が5年間の「理想の追求」プログラムの最終年に対応することから、食に関する研究の総括も行われました。海外出張のため当日欠席された西澤直子選考委員よりビデオメッセージが寄せられ、この中で「比較的若い研究者の萌芽的な研究をサポートでき、その後大きな研究に発展したことはよかった」と感想を述べられました。大垣眞一郎選考委員長からは「本研究助成は従来の専門分野を越えた広がりとユニークさを持っており、大きな研究領域が形成されつつある。食に関するテーマ18件に関わったすべての研究者の貢献に感謝したい」と総括されました。

「善き未来をひらく科学技術」の中間報告・概要紹介では、人工元素の創製、光ストレージへの挑戦といった物理・化学の分野から、転写プログラムの理解と応用、害虫防除の新戦略などのバイオロジーの分野まで多岐にわたるものでした。質疑応答では活発な議論がなされました。

上記の中間報告・概要紹介については最後に大垣眞一郎選考委員長より講評があり、「本プログラムでは、社会課題の解決に向けて、研究者自身が白いキャンバスに研究構想を描く事を求めており、いずれも難しい課題に取り組んでいる。採択された研究者と選考委員会の緊張関係、並びに採択された研究者間の相互刺激から研究成果が生まれると思う」とコメントされました。