第15回 研究助成金贈呈式
4月19日、東京・千代田区の経団連会館において、キヤノン財団の第15回研究助成金贈呈式が行われました。研究助成先に決定した14名に対し、同財団の評議員会議長であるキヤノンInc.御手洗冨士夫会長から研究助成金贈呈証が授与されました。
御手洗評議員会議長はお祝いの挨拶で「いずれのテーマも独創的で意欲にあふれ、それぞれの研究成果が豊かな社会実現のための礎となることが期待できるものばかりです。世界では、地球温暖化や資源の枯渇、少子高齢化や格差問題など、地球規模で対処しなければならない様々な課題が山積しています。研究者の皆様には、是非とも、叡智を結集してこうした課題を解決に導き、大きなイノベーションを起こすような研究にチャレンジしていただきたいと思います。」と研究者への祝福とこれからの期待を語りました。続いて、吉川弘之理事長は、「現在起こっている様々な問題は、ひとつの領域だけでは解決できません。キヤノン財団は、分野の違う研究者たちが集まる機会を作っています。そこで、たくさんの分野の研究者たちの協力関係が出来ることを願っています。そして、人類のために役に立つ知識を作っていただきたい。その知識をもとに感受性を持って研究をしてください。みなさんは、社会の中の研究者です。社会とコミュニケーションを取りながら、科学技術の進歩の先頭に立つ研究者になっていただくことを期待しています。」と研究者への激励と期待のメッセージを贈りました。
- 御手洗評議員会議長あいさつ
- 吉川理事長あいさつ
それから、研究助成プログラム「善き未来をひらく科学技術」選考委員長 大垣眞一郎先生ならびに「新産業を生む科学技術」選考委員長 長田義仁先生から、選考講評と助成先に選ばれた研究者への励ましの言葉が述べられました。引き続き、御手洗評議員会議長から研究助成先に決定した14名の研究者へ贈呈証が授与され、研究者を代表して京都大学 野々村 恵子教授と東京医科歯科大学 加藤 一希テニュアトラック准教授が助成のお礼と今後の抱負を述べました。
- 大垣選考委員長講評
- 長田選考委員長講評
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「善き未来をひらく科学技術」
助成先代表 野々村教授あいさつ -
「新産業を生む科学技術」
助成先代表 加藤テニュアトラック准教授あいさつ
「善き未来をひらく科学技術」助成先の皆さん
- 石田 宏幸 教授(東北大学)
- 竹内 春樹 教授(東京大学)
- 野々村 恵子 教授(京都大学)
「新産業を生む科学技術」助成先の皆さん
- 安藤 英紀 准教授(徳島大学)
- 尾沼 猛儀 教授(工学院大学)
- 加藤 一希 テニュアトラック准教授(東京医科歯科大学)
- 河﨑 史子 助教(東京大学)
- 北西 卓磨 准教授(東京大学)
- 小澤 大知 主任研究員(物質・材料研究機構)
- 坂井 三郎 主任研究員(海洋研究開発機構)
- 竹内 美緒 主任研究員(産業技術総合研究所)
- 廣理 英基 准教授(京都大学)
- 宮本 寛子 講師(愛知工業大学)
- 村岡 貴博 教授(東京農工大学)
贈呈式の最後に「異科接木の発見と研究の展開」の題目で、第9回「理想の追求」の研究助成先でもある、京都大学 教授 野田口 理孝様による招待講演がありました。先生は、「私たちの生命と密接な関係を持つ植物を持続的に守りたいという思いから、ストレス土壌にも強い植物を作ろうと接木に着目しました。従来の近縁な接木ではなく、遠縁な接木(異科接木)でも驚くような能力を発揮する植物があることを発見したタイミングでキヤノン財団に採択され、接着の鍵となる分子を同定するなど、接木の研究が進みました。発見をきっかけに、接木を効率的に行うための接木チップを開発し、大学発のスタートアップとして世の中に展開したり、接木で多様な品種を開発し販売する会社を創業したりと、接木を起点として様々な学問分野の研究者と共に世界をリードする研究へと発展しています。」と素晴らしい研究成果とその後の進展など、大変興味深いお話をされ、新たに採択された研究者に大きな励みとなる講演となりました。
- 野田口 理孝教授招待講演
- 野田口 理孝教授招待講演
贈呈式終了後の懇親会では、研究者の方々を中心にして、財団役員や選考委員との活発な交流が行われ、盛況のうちに閉会しました。
- 懇親会の様子
- 懇親会の様子