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「持続可能な未来に向けた和食食材の新たな展開」をテーマに、
外部向けのシンポジウムを開催

1月25日(金)、東京・千代田区の秋葉原UDXギャラリーネクストにて、一般社団法人和食文化国民会議(和食会議)との共催で、「和食と健康」~持続可能な未来に向けた和食食材の新たな展開~をテーマとしたシンポジウムが開催されました。

キヤノン財団が支援する「理想の追求」プログラムの「食」の研究では、食に関わる問題を、科学的アプローチで解決しようとする研究者に助成しています。その研究成果は和食会議が推進している「和食文化の保護・継承」に貢献できるものだと考え、今回の共催に至りました。
当日は、インフルエンザが流行っている時期にもかかわらず、多くの方が参加し、昨年に続き盛況となりました。

シンポジウムは、和食会議の大久保洋子調査・研究部会長のあいさつで開会。次に、キヤノン財団の星野哲郎事務局長が、キヤノン財団の概要や、キヤノン財団における「食」の研究への取り組みを紹介しました。
続いて、キヤノン財団の「理想の追求」プログラムの助成先である3名の研究者が、それぞれの研究材料である食材(イネ・牛肉・小麦)について最新の研究成果を発表しました。

奈良先端科学技術大学院大学の西條雄介先生は、イネを題材に「微生物との共生により、環境保全型の食料の生産を目指す」というテーマで、「植物と共生する微生物は、様々な環境変動に適応できる働きを持っており、安定的な食糧生産に大きく貢献する。」ということを、肥料への過度の依存を共生微生物の活用により少なくしていきたい、という話も交えながら分かりやすく紹介しました。

鹿児島大学の後藤貴文先生は、牛肉を題材に「科学と国土をフル活用した生産システムの大構造改革」というテーマで、「輸入穀物に依存している和牛の餌を代謝プログラミングを活用して耕作放棄地などの草地の草に変えていくことを目指す」と、後藤先生自ら手掛けた牧草牛の赤身であるQBeefを紹介しながら、循環型の牛肉生産の可能性を熱く語りました。

横浜市立大学の辻寛之先生は、小麦を題材に「フロリゲンを活用して地球温暖化に強い作物を創る」というテーマで、「花を咲かせる分子であるフロリゲンについてコムギに存在する温度上昇に応答する遺伝子を特定した。地球温暖化とフロリゲンの機能の関わりを解明することで、地球温暖化に強い作物の生産が可能になるよう貢献したい」と、力強く発表しました。

最後に行われたパネルディスカッションでは、司会・コーディネーターとして、和食会議の伏木亨会長、パネリストとして、発表者3名が登壇し、ご自身の経験や知見を交えながら有意義なやり取りが交わされました。

今後も、キヤノン財団は助成研究者による外部向け講演会を定期的に行ってまいります。